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ヒンデローペンの歴史

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日用品を美しくしたいというのはどの文化でも古くからあった。中世には家具はすでに絵付けされていた。

オランダ伝統絵付け工芸「ヒンデローペン」は1700年頃から18世紀の終わりまでが開花の時期といえる。18世紀のものは今も残っていて受け継がれている。
18世紀、アムステルダムでは高級な家具が出回っていたが、田舎では大工や馬車作り職人が家具を作っていた。シンプルで安い木材を使用し、それを隠すために絵付けがされた。カラフルな絵付け家具は豊かな農家に好まれた。
ヒンデローペンの研究資料によると、1670年に初めて絵付けされた家具が報告されている。1700年頃から本格的に絵付け家具が作られ、1710年頃から建具など段々と大きいものに絵付けは施されて行った。
当時はペイントが商品化されておらず、石を砕いたり、ヒ素や鉛等の身体に害のある物を使用することもあった。建具や家具等の大きな物の絵付け作業は時には命がけだったのである。
この18世紀のヒンデローペンの描き手は絵付け芸術家と家具ペインターが存在し、その間は一線が画されていた。(家具ペインターは絵付け芸術家の弟子が多い)
この絵付け芸術家が描いた絵付け家具を持つことは1740年以降には、ヒンデローペンの村の中で豊かさの象徴となり、豊かな農家は競って絵付け家具で家を飾るようになった。その装飾された部屋はヒンデローペンの独自の文化として高い評価を受けていた。
ヒンデローペンは17世紀の彫刻された箪笥の柄を模倣して絵付けしたのが始まりである。モチーフはデザイン化された花や鳥やスクロール(南ヨーロッパで広く自生する植物、アカンサスをシンプルな形にデザイン化したもの)を組み合わせて構成されたものである。
18世紀の作品には絵付けの中心に聖書の一場面を描き、その周りをヒンデローペンの花やスクロールで絵付けするものが多い。
ヒンデローペンの研究資料によると、1810年に最後の箱が絵付けされ、しばらくヒンデローペンは途絶えたと記されている。

その後は一大恐慌のため多くの絵付け家具が売り払われた。しかし19世紀の終わりには工業化の反動として息を吹き返した。歴史的にはフリースランド博覧会(1877)で完璧なヒンデローペンの室内を再現したことでヒンデローペンのインテリアが再び脚光を浴びる第一歩となった。

彫刻家であり絵付け作家であった Arend Roosje(アレン・ローシェ)氏(1869〜1914)は1894年に初めて工房を開いた。最初のヒンデローペン絵付け家具の工房だ。彼は、たまたま博覧会でRoosje(ローシェ)氏の作品を見て、その才能を見出だしたVan Welderen Rengers男爵から資金提供を受け、絵付けとデッサンを習得した。
その工房は1916年にStallman(スタルマン)家に引き継がれ今に至っている。
1921年には彫り師Harig Amsterdam(ハリフ・アムステルダム)氏が工房「アムステルダムの家具」を設立した。絵付師として Gerard Huttinga(ジェラルド・フッティンガ)氏を採用した。彼は後に20世紀を代表する熟練作家となり、18世紀のヒンデローペンを継承したのである。
ヒンデローペンでは第二次大戦後工房の数が増した。各々が古いモチーフを独自の物へと作り上げた。

2000年頃のヒンデローペンの村を見てみるとHuttinga(フッティンガ)氏の流れを汲むHarmen Glashouwer(ハルメン・グラスバウワー)氏、
Harmen Zweed(ハルメン・ズヴェイド)氏がそれぞれ工房を持ち制作している。
また4代目Stallman(スタルマン)氏とヒンデローペンのアンティーク作品収集家でもあるBootsma(ボーツマ)氏がRoosje(ローシェ)氏の伝統を受け継ぎ、それぞれ工房を開設している。
日本の絵付け工芸「トールペイント」の世界で人気を博した Meine Visser(マイネ・フィッサー)氏も18世紀の作風を元にした独自の作品を制作する工房を開設している。ヒンデローペンの村の入り口にある跳ね橋を渡るとすぐにあるお土産ショップでは Dirk van der Kooi(ディルク ファン デル コーイ) 氏がヒンデローペンの木工品を制作販売している。
ヒンデローペンの村では時代の変遷を経て、300年続く絵付け伝統工芸が生き続けているのである。

参考文献  2012年オランダで刊行「Hindeloopen」 Carolien Hack著

☆2015年時点で Meine Visser(マイネ・フィッサー)氏、
Harmen Zweed(ハルメン・ズヴェイド)氏、Dirk van der Kooi(ディルク ファン デル コーイ)氏は引退されています。

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